やりたいことに“寄り添う会社”。現場主義を貫く飲食企業の挑戦|モンテステリース有限会社
京都で「花たぬき」など10店舗を展開するモンテステリース有限会社。スタッフの人生設計に寄り添う“オリエンテーション”や業務委託による挑戦機会の提供──星山真也代表の歩みに迫る。
モンテステリース有限会社 代表取締役 星山真也(ほしやましんや)
Q:星山社長、今日はよろしくお願いします。まず最初にモンテステリース有限会社の事業内容から聞かせて頂けますでしょうか?
弊社は1998年に創業し、現在は京都のソウルフードでもある「ベタ焼き」を提供しているお好み焼き屋「花たぬき」の4店舗に加え、バル業態の「KAMIMARU」を2店舗、焼肉の「近江牛畜産あさひ」を2店舗、カフェ1店舗の直営店が9店舗に、「焼肉ホルモンすだく」というFC1店舗で計10店舗を運営しております。コロナ前は年商50億を掲げ店舗展開していくことをビジョンにしておりました。しかし、コロナを境に5店舗を撤退。優秀な人材との別れも経験しました。ですので現在は「長く愛され続ける会社を目指す。」そんなビジョンを掲げ、スタッフさんたちの生活環境ややりたいことに寄り添える会社を目指しています。
Q:ありがとうございます。多業態で運営されているんですね。星山さんは22歳で独立されていますが、どのような経緯で独立されたのでしょうか?
僕は物心ついたときからバンドをやっていまして。次第にその魅力に引き込まれ20歳まで!と決めてメジャーデビューを目指す仲間たちと共に切磋琢磨していました。そして、自分が決めたタイムリミットが近づくわけですが、仲間たちの「周りを蹴落としてでも上にいくんだ!」という姿をみて「この世界ではもう無理だ」と思ったんですよね(笑)。そこから、なんとなしに働いたお好み焼き屋さんが飲食の道に進むキッカケとなりました。社員として2年半ほど働くのですが、そこは家族経営をしていて2店舗とも店長にオーナーの息子さんがいて自分の成長にフタをされた感じがしたんです。それなら!と思い切って22歳で独立を決意しました。

Q:なるほど。なので星山さんは若くして独立されたんですね。創業されてから27年ということで紆余曲折があったかと思うのですが、どんな想いを大切にされてますか?
感謝ですね。この27年を支えてくださった方々には特にその想いでいっぱいです。創業時はお金を借りるために両親に保証人になってもらい、忙しいときにはお店も手伝ってもらって生活に支障をきたすほどでした。その間、幾度となくケンカもしましたが、今となれば感謝しかありません。また、苦しい時期にお店に来てくれた古い友人や、お店を支えてくれたスタッフさんにも感謝です。そこから生まれてくる相手を尊重しあえるような関係性を大切にし、そんな方々の将来と一緒に会社も成長させていきたいと思っています。
Q:ことスタッフさんに焦点をあてた場合、まずそのスタッフさんの描く将来像がどんなものなのかを把握しないといけないと思いますが、その辺りはどうされているのでしょうか?
僕が創業したころは、「将来は独立するんだ!」と目をギラギラさせた人で溢れていた業界でした。しかし、今はどちらかというと何をしたいのかが描けていない人の方が増えてきていると感じます。ですので、1対1の面談を通して、僕自身の経験なども踏まえて俯瞰した視点からその方の将来を描けるようにと、いわゆるコーチングをしております。でも、結果、別の道に進んでいくのならば、それはそれでいいと思うんですよね。その先で「あのとき星山からいわれたことが役にたったな」なんて思ってもらえたら、それだけで僕は嬉しいんですよ。

Q:「辞めてほしくないから」という下心ではなく、本当にその方の将来を思って普段から接してらっしゃるんですね。ありがとうございます。さて、この辺りから読者の方が気になりそうなことを伺っていきますよ!御社に入社してまず取り組むことはどんなことでしょうか?
まずは僕がオリエンテーションを行います。先ほどもお話しましたが、この先どうしていきたいかがボヤッとしてしまっている方も少なくありません。ですので、まずはその方のビジョンを伺って、そのビジョンを会社のビジョンをリンクさせるプロセスを踏むようにしています。コロナ前、年商50億を目指していたころは、多いときは年に6店舗出店し、自然とやりがいのある役職が巡ってくる環境でした。しかし、今はそうではありません。ですので、その方の「どうなりたいのか?」が重要になってくるんですよね。言い換えると「この会社でこのままいったらどうなるんだろう」といった漠然とした不安があるはずなんです。その不安をオリエンテーションで少しでも取り除けたらと思っています。
Q:「この会社でこのままいったらどうなるんだろう」とのことですが、単刀直入に伺います。御社に入社するとどうなっていくのでしょうか?
冒頭でもお話しましたが、弊社はスタッフさんたちの生活環境ややりたいことに寄り添える会社を目指しています。先日も独立願望のあった幹部が100%仕事に集中できる環境ではなくなってしまって。でも、その人間が新しくやりたいお店のコンセプトやビジョンは素晴らしいものがあったんですね。であれば、仕事に集中できる環境に戻るまで資金面からもサポートさせてもらって、そこからお店を買い取るなりしてやりたいことの実現ができればと思っているんです。現に花たぬきの4店舗中2店舗の店長とは管理面はモンテステリースで行い、業務委託を結んで運営の一切を任せています。つまり、よりやりがいのある仕事がしたければ今あるお店もどんどん任せていきます。ぜひ挑戦してほしいですね。

Q:ありがとうございます。でも独立したくない!なんて方もいらっしゃると思いますが、その辺りはいかがでしょうか?
おっしゃる通りですね。ですので、50億とはいかなくても直営店舗に関しては売上も利益もしっかりと確保して安定した店舗運営をしていこうと思っております。
Q:終盤に差し掛かりますが、ここで星山さんの想う飲食業の素晴らしさをお聞かせください。
良くも悪くも自分が頑張った結果、お客さまからの反応がすぐに得られるところだと思います。お客さまに足を運んでもらえないということは、お客さまのニーズにお応えできていない表れであり、お困りごとを解決していない表れでもあります。そこに対して即座に手を打ち、するとすぐに結果が表れるわけですが、その繰り返しで価値のあるお店作りができるわけです。このループをもつ仕事って実は少ないですよね。大工さんもお客さまの夢を形にできる素晴らしい仕事ですが、物件を引き渡した後の幸せにされている姿ってなかなかお目にかかれないですし、なによりも本当に喜んでもらってるのか?が少し見えづらいですよね。その点にフォーカスするとこの仕事はお客さまからのレスポンスがすぐ得られ、それが悪ければ即座に改善に向かえる。この辺りが素晴らしいと思いますね。

Q:ありがとうございます。最後に読者の皆さまへメッセージをお願いします。
何事もやってみなければ分かりません。ぜひ、この仕事を一度、体験してみていただけたらと思います。