“畑から料理をデザインする”京野菜料理の革新|株式会社五十家コーポレーション
自社農園で育てた京野菜を、焼く・煮る・漬けるなど多彩な方法で提供する飲食企業。お客さまの喜びを起点にした店づくり、独立支援、成長環境など、株式会社五十家コーポレーションが描く“食の可能性”に迫る。
株式会社五十家コーポレーション 代表取締役 五十棲新也(いそずみしんや)
Q:五十棲社長、今日はよろしくお願いします。まず最初に株式会社五十家コーポレーションの事業内容から聞かせて頂けますでしょうか?
弊社は、自社農園で栽培した京野菜を多彩な調理方法でお楽しみいただけるお店を11店舗運営しております。一般的なお店ですとコンセプトが決まっていて、そこから逆算して食材や調理法を選んでいきますが、弊社は違います。自社農園で栽培した京野菜から逆算し、お客さまにお喜びいただけるメニューを開発しております。コンセプトは「畑から料理をデザインする」。焼く、煮る、漬ける、など、各店で調理方法を決め、どのお店にお越しいただいてもイノベイティブな京野菜料理をお楽しみいただけます。また、近い将来、自社農園の真隣にお店を作り、お客さまご自身で収穫され、獲れたてホヤホヤの京野菜をその場でお楽しみいただけるお店を作る!そんなビジョンをもった会社です。
Q:素晴らしいビジョンですね!京野菜を育てられる農家のご出身だと伺いました。どのようなキッカケがあって創業されたのでしょうか?
キッカケは、大学卒業後に働いた飲食店で、子供のころから慣れ親しんだ京野菜が驚くほどの値段で提供されているのを知ったことでした。そのお店では廃棄寸前の京なす料理を900円とかで提供していたんです。そのときに、身近だった京野菜がブランド化されていることを初めて知りました。と同時にビジネスチャンスだとも思ったんですよね。美味しい京野菜を手ごろな価格で楽しんでいただけるお店を出せば、きっとお客さまに喜んでいただける。そう思って創業させてもらったんです。

Q:京野菜1本で勝負する。そこにはリスクが伴うと思うのですが、その辺りはどう思われていたのでしょうか?
同業者さんにはさんざん反対されましたよ。あまりにも反対されたんで1号店は、串焼き中心のお店になりました(笑)。しかし、あるとき、朝3時まで仕事をしていたことを心配した母が、自分で育てた芋で煮っころがしを作り、スタッフの分まで差し入れてくれたんですよね。で、僕はあろうことか、それを自分たちでは食べずに、お客さまに提供したんですよ。そうしたら、これが大ヒット。常連さんから、「あの煮っころがしはないの?」なんていうふうにいわれるようになっていったんですよね。そこで揺らいだ決意が確固たるものになりました。
Q:なるほど。それでアクセルを踏まれたわけですね。2003年に創業されたと伺っております。これまでに、どのような考え方を大切にされてこられたのでしょうか?
とにかくお客さまに喜んでいただく、ということです。もちろん会社なんで売上も利益も大切です。じゃないと従業員への給料も払えませんからね。なんていってますが、唯一、コロナ禍だけは、その考え方が揺らぎました。売上がほしい!その一心でお弁当をそこら中のオフィス街で売り始めたんですよね。そんな中、とある常連さんから「お弁当を持ってきてほしい」といわれ、自分たちの手でお運びしました。すると、とても喜んでいただいたんです。その喜ぶ常連さまのお姿をみて、元の自分たちの姿に戻れたんですよ。そう振り返ってみると、創業してから今まで、お客さまの喜びだけを考え続けた20年間だったと思います。

Q:どんな状況でも常にお客さまの喜びを追求する。そんな考え方が根底におありなんですね!さて、この辺りから読者の方が気になりそうなことを伺っていきますね!お客さまの喜びを追求するために、入社後、どんなことに取り組まれるのでしょうか?
何かに取り組む前に、まずは考え方を変えることですよね。特に経験者の方であれば、ご自身の考え方を持ち込まれる方が多い傾向にあります。僕はこんなことをやってきた。私にはこんなことができる。そんな具合です。しかし、主語は「僕が」「私が」ではなく「お客さま」なんですね。つまり、何やる、これやるの前に「お客さまの喜びのために」という考え方に変わってもらうことが最優先なんです。そうなるために店長が中心になって、お客さまに喜んでいただくためのお店づくりをしていますね。

Q:ありがとうございます。中長期的にはどのようにキャリアアップしていくのでしょうか?
まずは店長を目指していただきたいと考えています。弊社の評価制度には「作業ベース」と「意識ベース」の2つがあります。まずは作業ベース。これは業務の基本的スキルや正確さ、つまり「最低限できてくださいね」という部分が評価されます。次に意識ベースですが、こちらはお客さまに喜んでいただくためのお気遣いなどが評価されます。たとえば、お客さま同士の会話で誕生日だと分かったら、相応のお声がけをする。寒そうであればブランケットをお持ちする。こういった「お客さまに喜んでいただくための意識」が評価されます。そして、店長になり次はマネージャー、取締役とステップアップしていきますが、最終的には独立を目指していただきたいと思っています。
Q:独立を目指してほしい。そこにはどんな想いがあるのでしょうか?
上場企業並みの年収と、誰にも縛られない自由な生き方を手にして欲しい、という想いがあります。最近では、上場企業に就職できるような人も入ってきてくれるようになりました。つまり、上場企業をけって五十家に入ってきてくれるわけですね。なので、上場企業に就職するよりも幸せになってほしいんです。だから、僕は独立する社員を支援することを決めました。五十家に入って独立すれば、年収800〜900万が狙え、誰にも縛られない自由な人生が手に入ります。かれこれ10名以上が独立していきました。そして、独立していった彼らと、互いを高め合っていきたいと思っています。

Q:素敵な想いですね!ここで、五十棲社長の思う飲食業の素晴らしさをお聞かせください。
飲食業は、お客さまから直接「ありがとう」と言っていただける数少ない職業のひとつです。お客さまと直に接することで、お客さまのニーズを把握し、それを自社農園や生産者にフィードバックします。そうすることでまた革新的なメニューができ、それを召し上がられたお客さまにさらに喜んでいただける。そのループが起きることで今までやってきたことに「間違いなかった!」と思うことができる。これが、飲食業の素晴らしさだと思っています。
Q:ありがとうございます。最後になりますが、読者の皆さまへメッセージをお願いします。
今後は、お客さまの喜びを考えられる人じゃないと生き残れないでしょう。なぜなら、そう思えない人の仕事を優秀なAIロボットが奪っていくからです。喜ばせることを考えぬいた人。更には、それを喜びと感じられる人が今後、活躍していくと思います。金太郎飴のようにマニュアル通りに同じことだけやっていればいい。そんな時代は終わりました。頑張ってください。
株式会社五十家コーポレーション おにかい 店長 竹内祥悟(たけうちしょうご)
Q:続いてのおにかい 店長の竹内さん、よろしくお願いします。まず最初に竹内さんのお仕事内容からお聞かせください。
僕は、煮野菜をお楽しみいただける「おにかい」というお店で店長を務めています。主な仕事は店舗全体のマネジメントです。特に、お客さまが満足されているかどうか、スタッフが楽しんで仕事をしているかなど、お店の雰囲気や状態に常に気を配り、改善に努めています。

Q:ありがとうございます。竹内さんは何がキッカケで入社されたのでしょうか?
僕は物心ついたときから独立願望があったのですが、何で独立するか?がバチッと決まっていなかったんです。それを決めるために進学した大学でしたが、そこで五十棲の講演を聞いたことがキッカケで入社することになりました。
Q:どんな内容の講演だったのでしょうか?
飲食業の素晴らしさについてでした。お客さまに喜んでいただいた上に、直に「ありがとう」といっていただける。更にはお金もいただけて、みんながハッピーになれる!そんな話に惹かれ、実際に自分が働くことになる「おにかい」に食べにいってみたんですよ。そしたら、そこにいるお客さまやスタッフはもちろん、お店にいた五十棲まで全員が生き生きしていたんですね。で、僕もこの会社で生き生きしたい!そう思いアルバイトからスタート。大学の卒業とともに正社員となりました。
Q:そのアルバイトが実質的には就職活動になったわけですね!実際に入社してみて良かったことはどんなことでしょうか?
常にお客さまの幸せが中心の職場だったことです。もちろん、仕事なんで厳しいこともいわれます。当たり前ですよね。ですが、頭ごなしにいわれるのではなく、常にお客さまの幸せが中心にあるんですよね。ですので何をいわれても納得ができたんです。自分が否定されているような感覚にはならなかったんですよ。それが良かったことですね。

Q:確かに頭ごなしにいわれたら、感情的になって「お客さまを幸せにする」という本質を見失ってたかもしれないですよね。逆に、大変だったことはありませんか?
社員になりたてのころ、仕込みが終わらなかったことです(笑)。社員になって初めて包丁を握らせてもらったんですが、なんせ初めてなんで仕込みが追いつかないんです。その上、まかないも作らないといけなくて、いっぱいいっぱいになりました。で、結果的にお客さまの幸せに目を向けられなくなったんですよね。それが辛かったです。
Q:そんな辛さを乗り越えられた竹内さんですが、会社へはどんな思いをお持ちでしょうか?
恩返ししたい気持ちでいっぱいです。五十家グループは僕に飲食業の素晴らしさを教えてくれました。それと同じように僕も五十家での経験をふまえて飲食業の素晴らしさを後輩に伝えていけたらと思っています。
Q:竹内さんの思う飲食業の素晴らしさとは、どのようなものでしょうか?
お客さまと直にふれあう事ができることです。お客さまにお喜びいただこうと思ってやってきたことが感謝され、またお越しいただける。そこに一番の幸せを感じられる素晴らしい仕事だと思っております。
Q:ありがとうございます。最後に読者の皆さまへメッセージをお願い致します。
繰り返しになってしまいますが、お客さまにお喜びいただき、感謝され、またお会いすることができる。そこに最高の喜びを感じ、誇りをもってお仕事をさせていただいております。そんな幸せを分かち合える仲間と出会えることを楽しみにしております。